預貯金や有価証券などの相続財産の中でも、土地や建物などの不動産を取得される方は非常に多くいらっしゃいます。不動産は相続財産の中でも比較的価値が高くなることが多く、均等に分割することも難しいため、遺産分割でトラブルの原因になりやすい財産です。

更に、土地や建物などの不動産には複数の評価方法があり、評価方法も遺産分割協議で決める必要があるため、相続が完了するまでに長い年月がかかってしまうことも少なくありません。

しかし、相続した不動産の相続登記を行ったり、売却したりするためにも遺産分割協議は必要不可欠です。相続税申告のためにも、出来るだけ早い段階で協議をまとめられるのが最善といえるでしょう。

今回は、遺産分割を行う際の不動産の評価方法についてご説明します。

遺産分割の不動産の評価方法は自由

相続税や贈与税の計算を行うための不動産の相続税評価額は、土地は路線価方式か倍率方式、建物は固定資産税評価額を利用して算出されます。

誰がどの財産を、どれぐらい相続するのかを決める遺産分割協議の際も、どれだけの価値があるのか確かめるために、不動産の評価が必要になります。

しかし、遺産分割の不動産の評価方法は、相続税評価額のように定められておらず、相続人全員が納得した方法で評価を行うことになります。

そのため、相続人同士の利害関係が一致せず、不動産の評価の方法で揉めてしまうケースも少なくないのです。

不動産の評価方法で揉めるケース

不動産の評価方法でトラブルに発展しやすい遺産分割方法の1つが、相続人の1人が土地や建物を相続して、代わりに他の相続人に代償金を支払う代償分割を行う場合です。

土地や建物を相続した相続人は、代償金を安価に済ませるために、相続した不動産を出来る限り安く評価したいと考えます。

一方、代償金を受け取る相続人は、出来るだけ多く代償金を受け取りたいため、可能な限り不動産を高く評価したいと考えます。

そのため、代償分割などの方法で遺産分割を行う場合、自ずとそれぞれの相続人の望む評価方法が異なるものになってしまうのです。

→詳しくはこちら「【不動産と相続】もめるケースとは?土地・建物の遺産分割方法

土地には5つの価格が存在

土地は一物五価(一物四価)と言われ、1つの土地に5つもの異なる価格が存在しています。国税庁などの国や地方自治体、売買を行う不動産業者など、それぞれの目的に応じた異なる視点から土地を評価しています。

時価との比較

実勢価格(時価)

実勢価格とは、実際に不動産を売却をした場合にいくらになるのかを想定して算出される価格です。

一般的には査定をする不動産周辺の成約事例と比較して算出しており、時期によって価格が変動するため、時価とも呼ばれます。普段は人気のあるエリアでも、たまたま欲しいという人が現れずに価格が下がることもあれば、逆にあまり人気のないエリアでも、高くても欲しいという人が現れて、予定よりも高く売却できることもあります。

実際の不動産取引で利用される評価方法で、不動産業者や不動産鑑定士に依頼をすれば実勢価格を算出してもらえます。しかし、査定をする不動産業者によって数十万から数百万の差が生じることもあるため、遺産分割の際は複数の不動産業者に査定を依頼することが一般的です。

また、国家資格を有した不動産鑑定士に依頼をして、正式な鑑定評価額を算出してもらうことも可能ですが、数十万もの費用が発生するので、通常は遺産分割のために不動産鑑定士に依頼することはありません。

基本的には、実勢価格が最も高く不動産を評価することができる方法になります。

公示価格

公示価格とは、国土交通省が不動産鑑定士の評価額を参考に、地価公示法に基づいて算出している価格です。毎年1月1日時点の全国にある標準地の価格を算出し、3月下旬に公表されています。

公示価格は、実勢価格の90%が目安とされ、公共事業用地の取得価格を算定するための規準であり、一般市場の土地取引の指標にもなっています。

(参考:国土交通省「土地総合情報システム〜地価公示・都道府県地価調査〜」)

基準地価

基準地価は、公示価格と同様に公共事業用地の取得価格を算定するための規準で、一般市場の土地取引の指標にもなっており、公示価格を補うために各都道府県が算出している価格です。基準地価には、公示価格では算出されないエリアも含まれており、毎年7月1日時点の評価額が9月頃に公表されます。

公示価格の公表が3月、基準地価の公表が9月のため、比較して利用することでその半年間での土地価格の動向を把握することができます。

路線価(相続税路線価)

路線価は、相続税や贈与税の計算をする際に基準となる価格で、全国の道路ごとに路線価が設定されています。実勢価格や公示価格を加味して算出され、毎年1月1日時点での評価額を、7月頃に国税庁が公表します。

実勢価格の70%、公示価格の80%を目安に、市街地の道路には路線価が設定されていますが、郊外や地方の場合、路線価が定められていないエリアもあります。

相続税評価額を算出する際は、この路線価を利用した路線価方式と、路線価が定められていない場合に利用する倍率方式のいずれかで算出することになります。

(参考:国税庁 財産評価基準書路線価図・評価倍率表「令和元年分 財産評価基準書 東京都 (路線価図)」

固定資産税評価額

固定資産税評価額は、名前の通り固定資産税や都市計画税などの不動産に関する税金を計算するための基準となる評価額です。路線価とは異なり、固定資産税評価額は建物にもあります。

各市町村の担当者が1件ずつ不動産を確認し、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて、評価額を算出します。評価額は3年に1度見直され、1月1日時点での評価額が公表されます。

実勢価格の60%、公示価格の70%ほどの価格で、毎年4~6月頃に固定資産税の納税通知書が所有者に届きますが、不動産のある市町村の役場で評価額証明書を取得して確認することもできます。

固定資産税に関しては、対象の土地や建物を利用していない状態であっても、所有しているだけで納税義務が発生するため、活用する予定のない不動産は早めに売却の相談をされることをおすすめします。

遺産分割の不動産の評価は実勢価格が一般的

土地や建物の不動産には、用途に応じた複数の価格が存在しているため、状況に応じて使い分ける必要があります。遺産分割の不動産の評価方法には決まりがなく、相続人同士で納得をして決めればどの評価方法でも法的には問題ありません。

遺産分割の際の不動産の評価方法は、実勢価格(時価)を利用するのが一般的です。

しかし、どの評価方法を利用するかによって不動産の価値が変わるため、それぞれの相続人で意見が分かれてしまうこともあれば、選択した評価方法によっては損をしてしまうこともあります。

また、不動産業者によっても実勢価格が異なるため、複数の不動産業者に査定を依頼することをおすすめします。

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