65歳以上の人口が、2018年時点で総人口の28.1%の割合を占める超高齢化社会の日本において、高齢者の単身世帯の66.2%が自宅という不動産を所有しており、今後も相続による不動産の取得が増えていくことが予測されています。

土地や建物などの不動産の相続は、現金のように均等に分割することが難しく、遺産分割の際にトラブルの原因になりやすい財産です。

活用や売却ができる不動産であればまだしも、老朽化した郊外の不動産などは売り出してもなかなか買い手が付かず、相続人同士で押し付け合う結果になってしまうこともあります。

今回は、不動産を相続した場合に必要な手続きや注意点、遺産分割の方法について詳しく説明します。

(参考:内閣府「令和元年版高齢社会白書(全体版)」
(参考:総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果「住宅及び世帯に関する基本集計」

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不動産の相続で揉めるケース

不動産の相続で揉めるケース

不動産の相続のトラブルと一口に言っても、原因は様々です。

不動産を守りたい相続人と売却したい相続人が居れば、当然話し合いはまとまりません。たとえ相続人同士の希望が同じであっても、金銭的な問題で話が進まないということも多くあります。

 

不動産を相続したら何から始める?

法定相続人の確認

法定相続人の確認
相続が発生した場合、まず相続人が誰になるのか確認をする必要があります。

例えば、父親の相続によって取得した不動産が亡祖父の名義のままになっている場合などの、複数の相続が絡む数次相続では、個人でそれぞれの相続人を特定して連絡をとることさえも簡単なことではありません。

連絡先が分からない相続人や、全く面識のない相続人が含まれていることもあり、状況によっては、弁護士や司法書士等の専門家に相続人の調査を依頼する必要が出てきます。

→詳しくはこちら「法定相続人と相続分

遺産分割協議

遺産分割協議
相続人の特定が出来たら、次は誰がどれぐらい土地や建物を相続するのか、遺産分割協議を行う必要があります。

遺言書で不動産の相続方法などが指定されている場合もありますが、相続人全員や遺言執行人が納得した上で、遺言書と異なる方法での遺産分割協議書を作成することも可能です。

相続人の誰かが住み続けるにせよ、売却するにせよ、相続人全員が納得できる不動産の遺産分割方法を決めなければ、手続きを進めていくことは出来ません。

→詳しくはこちら「遺産分割協議とは?なぜ必要なのか

相続登記(不動産の名義変更)

相続登記(不動産の名義変更)
遺産分割協議書さえ完成すれば安心だと思っている方も多いのですが、協議書を作成した後には相続登記を行う必要があります。

いくら相続人全員が納得した上で作成した協議書でも、土地や建物の名義変更(相続登記)を行っていなければ、トラブルが発生した際に無駄になってしまうこともあります。

協議書を作成したからと言って、不動産を被相続人名義のまま放置せず、相続登記で名義変更をしてください。

 

土地や建物の分割方法

現金のように、細かく均等に分割することが難しい土地や建物などの不動産には、主に4つの分割方法があります。

現物分割

現物分割は文字通り、土地や預金などの財産をそのままの状態で相続する方法です。

例えば、被相続人の法定相続人が、配偶者と息子A、息子Bの計3人いるとします。
被相続人の相続財産には、①土地②預貯金③有価証券がある状態で、①土地は配偶者、②預貯金は息子A、③有価証券は息子Bがといったように、そのままの状態で相続する方法になります。

現物分割

最も分かりやすい方法ではありますが、それぞれの財産の価値が異なるため、相続人間で均等に分割できないというデメリットもあります。

換価分割

換価分割とは、不動産や有価証券などの財産の一部、もしくは全てを売却し、現金化してから分割する方法です。

亡くなった被相続人名義のままでは、財産を売却することは出来ません。そのため、まずは財産の名義変更を行い、売却します。財産の売却によって得た現金を、相続分に応じて相続人で分割することになります。

換価分割

財産を現金化するため、相続分に応じて綺麗に分割することが可能ですが、売却を望まない相続人がいる場合や、売却自体が困難な財産の場合には、換価分割は難しくなります。また、売却時に所得税の課税対象となることもあるため、注意が必要です。

代償分割

代償分割とは、不動産などの現物財産の一部、もしくは全てを相続人の1人が相続し、代わりに他の相続人に代償金を支払う分割方法です。

例えば、被相続人の法定相続人が、配偶者と息子A、息子Bの計3人いるとします。配偶者は被相続人の財産である自宅に住み続けたいが、息子A、息子Bは売却して現金化を望んでいると、現物分割や換価分割での遺産分割は困難になります。このような状況で、配偶者が自宅を相続する代わりに代償金を息子A、息子Bに支払って遺産分割を行うのが代償分割です。

代償分割

財産を売却して現金化を望む相続人と、売却を望まない相続人の双方の希望に沿うことができますが、基本的に代償金は現金での支払いになるため、現物財産の相続人に代償金の支払い能力が必要になります。

共有分割

共有分割は文字通り、不動産などの現物財産の一部、もしくは全てを相続人の共有名義にして相続をする方法になります。

共有分割

相続発生時のまま手付かずの状態でも、被相続人の財産は相続人の共有名義になるため、一見シンプルで分かりやすく、公平な分割方法だと思われがちですが、実はトラブルに発展しやすく注意が必要な分割方法になります。

不動産などの財産を相続人の共有名義にしてしまうと、売却や賃貸など、何を行うにも名義人全員の意見が一致していなければなりません。また、共有名義で相続を受けた相続人が亡くなった場合、次の相続人の世代で更に複雑な状況になってしまい、新たなトラブルに発展する可能性があるのです。

 

不動産の評価方法

現金のように細かく分割することが難しい不動産の遺産分割。トラブルに発展しやすいもう1つの理由は、不動産の評価方法です。不動産を評価する方法はいくつも存在し、当然評価する方法によって評価額は異なります。

売却をして現金化することを、相続人全員が望んでいるのであれば、評価方法で揉めることは基本的にはないでしょう。しかし、代償分割の場合などは、代償金を支払う相続人は出来る限り評価を下げたいと考え、代償金を受け取る相続人は出来る限り評価を上げたいと考えるため、評価の方法でトラブルに発展することが多くなってしまうのです。

一般的に知られている評価の1つに、不動産業者や不動産鑑定士に売却を想定して査定をしてもらう時価(実勢価格)があります。しかし、時価での評価だけでも不動産業者によって、数十万から数百万の差が生じてしまいます。

相続人同士でしっかりと話し合い評価方法を決める必要がありますが、意見がまとまらない場合などは、状況に応じて弁護士等の専門家にご相談ください。

→詳しくはこちら「【不動産と相続】遺産分割での土地・建物の評価方法

 

相続した土地や建物が売れない

いざ相続で取得した不動産の売却を始めても、売却が思うように進まないという方も少なくありません。全国の活用されていない土地や建物は年々増え続けており、その活用されていない土地や建物の取得理由は、2015年時点で半数以上が相続となっています。

不動産の価値に見合っていない高すぎる価格設定、広大すぎる山林や田畑、遠隔地で需要の少ない土地など、売却がうまく進まない理由は様々です。

しかし、不動産を活用できていなくても、所有していれば固定資産税も発生します。次の世代へ相続が発生した時のためにも、売却したり、活用の出来る状態にしておくことで、残された家族たちの負担を軽減することが出来るのです。

(参考:国土交通省「平成26年空家実態調査 集計結果報告書」

 

トラブルになりやすい不動産の遺産分割

多くの方が相続で取得する不動産は、現金のように均等に分割するのが難しく、遺産分割でトラブルに発展しやすい財産です。相続分など金銭的な問題だけでなく、分割方法も1つではないため、相続人同士で意見が一致しないことも少なくはありません。

状況に応じて、どのような方法で不動産の遺産分割を行うべきなのか決める必要があります。

どの分割方法を選択すべきかお悩みの場合は、大きなトラブルに発展してしまう前に、弁護士や司法書士等の専門家にご相談ください。

 

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※注意※
記事の執筆後に法令改正等が行われている場合、内容が古い可能性があります。法的手続きをご検討中の方は、弁護士・税理士・司法書士等の専門家への確認・相談をおすすめします。