高齢者世帯の生命保険への世帯加入率は年々増えており、相続が発生した際に生命保険金を受け取る相続人は非常に多くいます。

相続の発生により保険金の受け取りが生じた際に気になるのが、死亡保険金等の生命保険金が相続財産に含まれるのかどうかということです。

保険金が相続財産に含まれなければ、保険金の受取人に対して不満を抱く相続人が現れる可能性もあります。しかし、逆に保険金が相続財産に含まれてしまうと、受取人を指定する意味が無いと感じてしまう方もいるのではないでしょうか?

今回は、相続と生命保険の関係について詳しくご説明します。

生命保険契約の関係者

生命保険の契約は、主に保険者・契約者・被保険者・受取人の4者によって成立します。

保険者

保険契約に基づいて、保険料の徴収や保険金の支払いなどの保険事業を行っている者を保険者といいます。
生命保険の契約では、生命保険会社が保険者となります。

契約者

契約者は、保険者と契約を交わし、保険料を支払っている者です。保険の契約者が、保険料の支払い義務を負うことになります。

被保険者

保険の対象となっている者を、被保険者といいます。被保険者が死亡した場合や入院した場合に、保険の契約内容に応じて、保険者より保険金が支払われることになります。

受取人

保険者から支払われる保険金を受け取る者が受取人です。受取人は保険の契約時に、契約者によって指定されます。

生命保険契約 関係者

死亡保険金は相続財産に含まれるのか

保険金の受取人になると、受け取った死亡保険金が相続財産に含まれるのかどうかが、真っ先に気になるのではないでしょうか?

結論から言うと、受取人が指定されている場合は、受取人固有の財産として扱われるため、原則として死亡保険金は相続財産には含まれません

死亡保険金は、保険契約に基づいて受取人が取得している財産になるため、たとえ受取人が相続人であっても、遺産分割の対象とはならず、他の相続人に分配する必要はないのです。

しかし、死亡保険金はみなし相続財産といって相続税の課税対象となる場合があり、更に生命保険の契約状況によっては、贈与税や所得税の課税対象となる場合もあります。

ただし、死亡保険金の受取人が相続人で、相続税の課税対象となる場合には、非課税枠が設けられています。この非課税枠を活用することにより、死亡保険金を非課税で受け取ることが出来る可能性もあるため、ご自身で判断をするのが困難な場合は税理士等の専門家へご相談されることをおすすめします。

→詳しくはこちら「死亡退職金の税控除

相続放棄をしても死亡保険金は受け取れる

相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も一切承継しない、初めから相続人ではなかったとする手続きです。

「相続放棄をしたら死亡保険金は受け取れないのではないか?」と不安になる方もいるかもしれません。しかし、前述したように保険金は相続財産ではなく、受取人固有の財産になります。そのため、保険金の受取人に指定されていれば、相続放棄をしても保険金を受け取ることができるのです

あくまで、相続放棄をしても保険金を受け取ることができるのは、受取人が指定されている場合に限られますので、ご注意ください。

→詳しくはこちら「相続放棄~家財道具の処分~

死亡保険金が特別受益として相続財産に含まれるケース

受取人が指定されている死亡保険金は、受取人固有の財産となり相続財産には含まれません。

しかし、保険金を受け取れない相続人は、保険金も相続分の遺産もどちらも受け取ることができる相続人に対して、不公平だと感じることもあります。このような場合に気になるのが、死亡保険金を特別受益として扱うことで、遺産分割の対象にできるのかどうかということです。

特別受益とは、被相続人からの贈与や遺贈によって、一部の相続人だけが特別に利益を受けることをいいます。もちろん死亡保険金は受取人固有の財産のため、原則として特別受益の対象にはなりません。

ところが、下記のような特段の事情がある場合に、死亡保険金が特別受益とみなされるという最高裁の判例もあります。家庭裁判所でも、様々な事情を考慮したうえで判断が行われているため注意が必要です。

・保険金の受取額が、遺産総額の6割を超える場合
・保険金の受取人の、被相続人の介護等への貢献度が低い場合
・被相続人と保険金の受取人が別居の場合

(参考:裁判所「最高裁判所判例集~ 遺産分割及び寄与分を定める処分審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件~」

→詳しくはこちら「生前贈与による相続分の不平等

受取人が未指定の生命保険金

まれに、保険金の受取人が指定されていないというケースがあります。

契約者 未指定

このような場合の保険金の受取人は、基本的に保険契約約款で予め指定されています。そのため、保険金は契約約款で指定された新たな受取人固有の財産となり、相続財産には含まれないのです。

しかし、契約約款にも受取人の指定が無い場合は、保険法46条に従って相続人が受け取ることになり、この場合の保険金は相続財産とみなされます。また、分割方法も法定相続分ではなく、相続人で均等に分割されることになります。

(参考:衆議院「保険法 第四十六条」
(参考:電子政府の総合窓口 e-Gov「民法 第四百二十七条」

受取人が既に亡くなっている生命保険

保険金の受取人は指定されているものの、その受取人が先に死亡しているということは少なくありません。この場合も、誰が保険金を受け取ることができるのかが問題になります。

複雑になってしまいますが、この場合は死亡した受取人の相続が発生している状態となり、亡受取人の相続人が保険金の受取人となるのです。

受取人 先に死亡

また、この場合の分割方法も民法427条に従って、法定相続分ではなく、相続人で均等に分割されることになります。

被相続人が契約している家族の生命保険

死亡した被相続人が契約者となっている保険の中には、被保険者が配偶者や子供になっているケースが多くあります。保険の対象となっている被保険者が死亡したわけではないため、生命保険の契約は契約者の相続人に引き継がれ、継続することになります。

契約者 被保険者 受取人

この場合、生命保険契約に関する権利は相続財産となります。そのため、相続した生命保険の契約を継続するのか、解約して解約返戻金を受けとるのか、死亡した契約者の相続人間で遺産分割協議を行い決める必要があります。

相続と保険金の複雑な関係

保険契約の内容によって、死亡保険金等の生命保険金が遺産分割の対象となるかどうかは変わります。契約者や被保険者、保険金の受取人が誰になっているのかというのはもちろんのこと、更に別の相続の問題が絡んでいることもある、非常に複雑な遺産の1つなのです。

また、相続財産には含まれなくてもみなし相続財産となり、相続税の課税対象となることもあるため注意が必要です。

遺産分割の対象になるのか、課税対象なのか判断が難しい場合は、トラブルに発展する前に弁護士や税理士等の専門家にご相談ください。

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記事の執筆後に法令改正等が行われている場合、内容が古い可能性があります。法的手続きをご検討中の方は、弁護士・税理士・司法書士等の専門家への確認・相談をおすすめします。