障害者や認知症の相続人がいる場合の遺産分割

相続が発生すると、銀行口座から預金を引き出す際など、遺産分割協議書等の作成が必要になる場面が多くあります。遺産分割協議は相続人全員の同意の下成立するため、1人でも欠けると手続きを進めることができなくなってしまいます。

では、相続人の中に遺産分割協議が困難な障害者や認知症の方がいる場合、どうすればいいのでしょうか?当然、障害者や認知症の相続人にも他の相続人と同じように権利があるため、遺産分割の内容に関わらず、他の相続人だけで話し合って決めていいものではありません。

このような場合には、まず成年後見人を選任して、代理で遺産分割協議に参加してもらう必要があります。今回は、後見人が必要となる場合の遺産分割についてご説明します。

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成年後見人はそれぞれに必要

後見人は、遺産分割協議を行うために選任されるのではなく、被後見人の保護のために選任されます。そのため、1件の相続に障害者や認知症の相続人が複数人いる場合は、それぞれに後見人を選任しなくてはなりません。
成年後見人はそれぞれに必要
相続人の中には、被相続人の銀行口座が凍結したままでは生活費が捻出できない方もいます。そのため、遺産分割協議を行うために、1日でも早く後見人を選任したいと考える方が多いのではないでしょうか?

しかし、後見人の選任は家庭裁判所に申立てをしてから審判がくだるまでに、2ヶ月~5ヶ月ほど時間を要します。当然、後見人の選任を待っている間も、銀行口座の凍結解除などはできません。このようなトラブルを未然に防ぐためにも、早い段階で後見人選任の申立てについて弁護士等の専門家への相談をおすすめします。

 

相続人の中に成年後見人も成年被後見人もいる場合

後見人は、弁護士等の専門家だけではなく、被後見人の親や子供、兄弟が選任されることも少なくありません。このような状態で相続が発生すると、後見人と被後見人が同じ相続の相続人となることがあります。ここで問題になるのが、利益相反です。

例えば、認知症の母親の後見人に子供が選任された状態で、父親の相続が発生したとします。この場合の法定相続人は、配偶者である認知症の母親と、その後見人である子供になります。

この状態で後見人である子供が母親の代理で遺産分割協議を行えてしまうと、子供が多くの財産を相続するために、母親の相続分を減らすことが可能になってしまうのです。
利益相反行為

後見人と被後見人が共に相続人となる場合、利益相反が生じてしまうため、後見人は被後見人の代理で遺産分割協議を行うことは出来ません。

後見監督人が選任されている場合は、後見人に代わって後見監督人が被後見人の代理となり、遺産分割協議に参加することができます。後見監督人が選任されていない場合は、新たに特別代理人の選任が必要になります。

利益相反行為にも関わらず、特別代理人を選任せずに後見人が代理で行った遺産分割協議は無効となってしまうので、利益相反行為に該当する可能性がある場合は事前に弁護士等の専門家にご相談ください。

→詳しくはこちら「成年後見制度について

 

成年後見制度の種類と遺産分割協議

成年後見制度は、判断能力の状態に応じて後見人以外に、補助人や保佐人が選任されることもあります。相続人の中に被補助人や、被保佐人がいる場合の遺産分割協議にも注意が必要です。

相続人の中に被補助人がいる場合

後見制度の3種類の中で、最も症状が軽い場合に選任されるのが補助人です。補助人の場合、同意権や代理権が与えられる法律行為は、家庭裁判所の審判によって決まります。

そのため、遺産分割で同意権や代理権を与えられている補助人が選任されている場合に限り、遺産分割協議で補助人の同意や、代理で協議への参加が必要になります。

相続人の中に被保佐人がいる場合

保佐人は、補助人と後見人の中間の後見制度です。保佐人の場合、同意権が必要な行為に遺産分割が含まれているため、保佐人の同意を得なければ遺産分割協議は成立しません。保佐人の同意を得ずに遺産分割協議を行っても、保佐人はその遺産分割を取り消すことができるのです。

また、代理権に関しては補助人と同様に家庭裁判所の審判によって決まるので、遺産分割での代理権を有している保佐人の場合は、協議への参加が必要になります。

判断能力が不十分な相続人がいる遺産分割には成年後見人が不可欠

例え不利益のない内容の遺産分割だったとしても、相続人の中に障害や認知症で判断能力が不十分な方がいる場合は、後見人の選任が必要です。

せっかく遺産分割協議書が完成していても、判断能力が不十分な方の交わした協議書は無効となってしまいます。また、状況によっては利益相反が生じたり、後見人を選任しているだけでは不十分な場合もあるので、ご不安な方は事前に弁護士等の専門家にご相談ください。

 

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※注意※
記事の執筆後に法令改正等が行われている場合、内容が古い可能性があります。法的手続きをご検討中の方は、弁護士・税理士・司法書士等の専門家への確認・相談をおすすめします。